職場の休憩室ではテレビが垂れ流されています。年齢、家族構成、価値観などが異なる協働者たちは、それを皆で見ながらなんとか共通項を見つけて話を展開するのです。
ある日のテレビに「新しい学校のリーダーズ」なる女学生風のグループが徹子の部屋に出演していたのですが、私はそのグループを知りませんでした。その旨を同僚に伝えると「ええ!知らないんですか?紅白にも出てましたよ?」と大変に驚いていました。
私も学生時代は群れからはぐれないために流行を追わなくてはなりませんでしたが、現在はそのような状況になく、現にこうして働き、メシが食えているのです。そのような環境に甘えて、いつからか私はテレビを見ることを怠けるようになり、全く俗世から離れた生活を営んでいるようなのでした。
そのことには普段は気づくことができません。それは私が孤独主義者であり、自分の興味の赴くままに、これから独り、甲府へ旅に出ようなどと考えてしまうものですから、当然といえば当然なのです。
吐く息白い冬の朝、旅支度を済ませて家を飛び出した私と、昨日見た番組の話で盛り上がる、制服姿の学生たちとがすれ違っていきます。